diary-sentencesのブログ

日々たらたらと小話的な物語的なのを書きます。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

第三十六話 輪

私はこの春に何とか志望する大学に入学することができた。 大学に入学したと同時に新しいことを始めようと思い、寝る前に日記をつけることにした。大体書き始めは気候や季節のことを書いてしまう癖があることに気づいた。 外に出るだけで嫌になるような暑さ…

第三十五話 退屈な男4

今日もいつも通り出勤。 8畳ほどの敷地面積をもつ店舗に1人で立ち右から左、左から右へと流れていく「お客様」に「いらっしゃいませ」を言うのがオレの仕事。 ではなかった。 古びれたデパートの地下で日本人に馴染みのない「トルティーヤ」を売るのが仕事。 オレ…

第三十四話 コンビニ店員

街はずれのコンビニエンスストアの駐車場に、黒光りする全長の長い車が停まった。 車のドアが開くと中からは洗練された黒のセットアップに身を包み、サングラスをかけ、ポマードで固められた髪型の男が出てきた。 男はコンビニエンスストアに入り、何の迷い…

第三十三話 他国

A国は自然に恵まれた国だ。生き生きとした草花が広がり、海や川の水はどこまでも透き通っている。国民のほとんどが自給自足の生活をしており、他国にその農林水産物を輸出することでこの国の経済は回っている。 国民のキャラクターとしては落ち着いた朗らか…