diary-sentencesのブログ

日々たらたらと小話的な物語的なのを書きます。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第二十話 20歳 1

大学に入ってから仲良くなった友人と三人で過ごすのが私の日課。みんな出身も違うし、入ってた部活も違う。それでも仲良くなれた。M君は高校時代から軽音部に入っていて今も続けている。Iちゃんは茶道部だったらしく今は私と同じで何もしていない。 大学生…

筆者は語る

慣れてない。物語を書くことに。面白い発想も毎日浮かぶわけではない。後から読み返して、何だこの投稿という回もある。しかしどの投稿にも愛着がある。自分が書いているから。僕が書きたいのは、星新一さんのショートショートのように、読み終わって「おお…

第十九話 町田

ある白髪の仙人みたいなおじいさんに出会い、願いを叶える合言葉を教えて貰った。「ポジティブシンキングメイキング」と唱えてから、願いをいえば叶うらしい。ただ人生で20回しか使えないらしい。 そんなことあるかよ。ただの夢だ。目を覚まして気付いた。疲れ…

退屈な男 3

今日もいつも通り出勤。8畳ほどの敷地面積をもつ店舗に1人で立ち右から左、左から右へと流れてい「お客様」に「いらっしゃいませ」を言うのがオレの仕事。 ではなかった。 古びれたデパートの地下で日本人に馴染みのない「トルティーヤ」を売るのが仕事。オレはオ…

第十八話 ある子供たちの世界

今日も子供たちによって公園は汚されていく。小学校から下校して自宅にランドセルを置き、すぐさま駄菓子屋に向かい少しの駄菓子を買い公園に集う。チャリンコを雑に乗り捨てて、ベンチに集まる。ある子供たちはカバンからゲーム機を出してピコピコと通信対…

第十七話 ナターシャ

私と彼の間に子供ができた。もう出産間近だ。妊娠中も彼は私に気を使ってくれてなんでもしてくれた。家事も彼がしてくれて買い物も彼がしてくれた。マッサージも毎晩してくれた。私と彼は一度もけんかなどしたことがなかった。昨日までは。 妊娠したとわかっ…

第十五話 第十六話 色別制度

ある地域で自治体によりある制度が導入された。「色別制度」だ。その地域に住む人間は自分が何色的人物であるのかを定め、手首にその色のブレスレッドを着用しなければならない。何色的人物なのかというものはに関して明確な標準化はされておらず各個人で自…

第十四話 ヨシオ

ヨシオは僕のクラスメイト。 僕は小学四年生。 小さな小学校に通っているんだ。 全校生徒は70人くらい。 だから三年生と四年生はおんなじ教室で授業をしている。 僕は音楽の授業が大好きなんだ。 特にリコーダーを吹くのが好き。 なんでか気持ちがワクワクす…

第十三話 バス

雨がまるで歓喜しているかのように、土砂降りのある日のことだった。5月15日のことだ。一人の男が道を歩いていると、大通りを白い霧に包まれたバスが通った。まるで西遊記に登場する筋斗雲がバスの周りを囲っているかのようにも見えるし、スモークグレネード…

第十二話 ジャガイモ

ケビンはいっつも僕にジャガイモの話をしてくる。ケビンの実家は代々ジャガイモ農家らしい。ケビンは名前でもわかるように、日本人ではない。アメリカのどこか出身だ。広大な土地で日本では見慣れない、細長くて大きいジャガイモを栽培しているようだ。 ケビ…

第十一話 ワイン酒場

駅前に新しくできた居酒屋は評判がいい。居酒屋だが、500円でおいしいワインが飲めると話題だ。店自体はそこまで大きくなく、カウンターが5席、テーブル席が4つだ。店主の親父はとても人柄がよい。陽気でいつもお客たちに元気を与えている。身長が高くて、…

第十話 続き

「あなたも僕と昨日タクシー相乗りしましたか?」 つい焦って、不自然な日本語になってしまった。 「はい!昨日はお金まですみませんでした」 「いえいえ、酔っ払っていてあまりはっきり覚えてないんです」 「そうなんですか!?そうは見えませんでした。では改めて…

第九話 続く

安売りしているペットボトルのお茶も意外とおいしいと思ったのは間違いだった。エアコンの無いこの6畳一間に暮らしている俺が、真夏の昼過ぎに起きて飲んだそれは茶葉ではなくて段ボールから淹れたんじゃないかという味だった。大切なのは温度なのだろうと…

第八話 白なんだゼ

とろりと溶けて、びよーんと伸びる?? あんな塩分を多く含んだ加工食品に人が群がるなんて 考えられないゼ。 もちもちの食感と、ティーの甘さ?? あんな外国からの刺客に影響を受けてしまう人間なんてどうかしてるゼ。 日本人は黙ってオレたちを食えばいい…

第七話 真っ白

ついに入学式の日かあ。友達出来るかな。地元から離れた大学だから高校の友達もいないし。まあしっかり明るくしていよう。学科の説明会は学籍番号順で座るのか。隣の人はどんな人なんだろう。緊張するな。 「あ、お名前なんて言うんですか?」 「田崎です。…

退屈な男 2

今日もいつも通り出勤。8畳ほどの敷地面積をもつ店舗に1人で立ち右から左、左から右へと流れてい「お客様」に「いらっしゃいませ」を言うのがオレの仕事。 ではなかった。 古びれたデパートの地下で日本人に馴染みのない「トルティーヤ」を売るのが仕事。 オレはオ…

第六話 靴屋の秘密

ワレは靴屋の店主だ。あんこの生産量日本一の町にある、さびれた商店街で靴屋を営んでいる。ワレはもう63歳。お母さんはワレの一つ下だ。お母さんというのはもちろんワレの嫁のことだ。もうこの年になると名前で呼ぶのも恥ずかしいし、おい嫁とかおい妻とか…