第四十一話 そんな日々
電動自転車を買って、押して歩きたい。
パーマをかけて、帽子をかぶって過ごしたい。
吸えないタバコを買って、ベランダでふかしたい。
いつだってくだらない。
頑張っても、褒められるのは気に入られてる奴だけ。
高い服を買っても、スタイルが結局ものをいう。
明日は出かけようと思っても、起きれば雨の日。
いつだってくだらない。
仲良くしていたのに、ヒエラルキーの上に行ってしまえばそいつは自分のことを友達だと思ってくれない。
虫取りしたっていつかは死んでしまう。
いくら愛していたって、離れれば忘れてしまう。
いつだってくだらない。
大学で友人と講義を受けていたら、履修していないはずの彼女が15分遅れてやってくる。
座ってる俺の前に立ち止まり、こう言って泣きながらビンタをする。
「帰ってきてたなら連絡してよ!一年間も留学して、帰ってきても私には連絡してくれない。私会いたかったんだよずっと!」
って言われたい。
それでボソッと「ごめん」と言いたい。
いつだってくだらない。
くだらないから誰とも一緒に過ごしたくない。
できれば無駄に友達も作りたくない。一人でいたい。
だけど寂しさっていう厄介な感情を持ち合わせているから誰かに依存しようとする。
いつだってくだらない。
絶対に絶対なんてないよ絶対、それは絶対だから。
くだらない。
「おはよう」が返ってくれば、自分はまだ輪の中に居られてると思ってしまう。
くだらない。
喧嘩する勇気もないのに、いざと言う時のために格闘技を習いたい。
誘われる期待値なんてとても低いのに、断るセリフを考えてる。
聞きたい音楽なんて今は特に何も無いけど、自分の世界観を持ってるように振る舞いたいからイヤホンをつけたい。
苦しいのにそういう文化だからとか言って、平日は毎日ネクタイを締めてる。
そんなに疲れていないのに、気分転換とか言ってドライブに行ってまた疲れる。
いつだってくだらない。
そう、くだらない。