diary-sentencesのブログ

日々たらたらと小話的な物語的なのを書きます。

退屈な男 2

 

今日もいつも通り出勤。8畳ほどの敷地面積をもつ店舗に1人で立ち右から左、左から右へと流れてい「お客様」に「いらっしゃいませ」を言うのがオレの仕事。

 

ではなかった。


古びれたデパートの地下で日本人に馴染みのない「トルティーヤ」を売るのが仕事。

オレはオーナーじゃない。オーナーから

「近頃の売上の落ち込みは、従業員が"いらっしゃいませ"を言わないからだ」と言われたので「いらっしゃいませ」を言うことに重きを置いて働いている。

 

右から客がやって来た。言うまでもなく、「うちの店」には止まらない。

 「いらっしゃいませ」

 

6時間勤務がオレの基本。スーパーで1080円で買った腕時計を見てもまだ20分しか経っていない。

 

右から客だ。

 

本当に運が悪い俺は。俺は大学生なんだが、まず大学内に友達がいない。気の合う人がいないから友人関係を築くことをやめた。その時点で運が悪い。ということは俺は講義を1人で受ける。今日も、講義に1人できている学生の隣の席しか空いていなかったので、ここ座っていいですか?ときいたら、あ、友達くるので、といわれた。運が悪い。恥ずかしい。あちらの席に行こう。ここ座っていいですか?、あ、友達くるので、といわれた。運が悪い。今日はこういう日なのだ。と最初は思おうとしていたがそれが毎日続くものだからどうしたものかと。きっと明日もこんな日がくるんだろう。

 

「いらっしゃいませ」

 

危ない。左肩に鳥のフンをつけて、右手には破れたレジ袋、3歩に1度、靴紐がほどけてしまう男が店の前を通るもんだから、運の悪いエピソードを妄想してしまった。集中しよう。

 

今度は左から客だ。

 

「せんせーい、冷房寒いので切ってくださーい」

っていう女子はなんなんだ。うちの高校は制服に移行期間がないし、夏場は教室の冷房効きすぎるの分かってんだからカーディガンとか持ってこいよ。女子みたいに教室で菓子食って、中身のない話してるんじゃねえんだこっちは。男子は昼休みにバスケしないといけないし、休み時間は教室で鬼ごっこしないといけないんだ。考えてくれ。暑い方に合わせるのが普通だろ。

 

「おいお前新シリーズのあの映画見た?めっちゃかっこよかったぜ!!」

って授業中に普通に話し出す男子はなんなんだ。まず授業中なんだから静かにしてよ。あと、人の事お前ってなんでいうの。汚い言葉を平気で使うよね男子って。あとその新シリーズの映画ってどうせアクション映画でしょ。そんなの見てないでプロフェッショナルみなさいよ。それかアナザースカイみなさい。本当に男子って頭が良くない。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

危ない。店の前を仲良くして見せてるけど、絶対にその2人は付き合うべきじゃなかっただろっていうカップルが通るから、高校時代、お互いにこういうこと思ってたんだろうなと考えてしまった。集中しなきゃ。

 

今日もまだまだ続くな、、、。