diary-sentencesのブログ

日々たらたらと小話的な物語的なのを書きます。

第十九話 町田

ある白髪の仙人みたいなおじいさんに出会い、願いを叶える合言葉を教えて貰った。「ポジティブシンキングメイキング」と唱えてから、願いをいえば叶うらしい。ただ人生で20回しか使えないらしい。

 

そんなことあるかよ。ただの夢だ。目を覚まして気付いた。疲れ切った身体が見せた夢だろう。さあ準備をしよう。な、なに!やばい、遅刻してしまう時間だ。まずい、昨日も遅刻してしまっているから今日こそは社長になんて言われるかわからない。どうしよう。そうだ。夢の話でも試してみようかな。どうせ夢だ。遅刻したという事実から目を背けたいだけだが、唱えてみよう。「ポジティブシンキングメイキング」「今日、会社休みになれ。」

すぐに電話が鳴った。社長からだ。「あ、町田くん?急でゴメンだけど、今日は会社休みにするから出勤しなくていいよ。」まじか。ほんとに俺の願いが叶ったのか?だとしたらあの夢に出てきたおじいさんの話は本当なのか?

まあそれはおいといて、急に休みになっても暇だな。何をしようか。好きなアイドルグループのライブDVDでもみてゴロゴロしたいが、あいにくそんなDVDはない。おっとまてよ、もしかして願ったら出てくるんじゃないか?やってみる価値はあるか。「ポジティブシンキングメイキング」「あのグループのライブDVDがほしい!」

すぐにピンポンが鳴った。玄関を開くと宅配業者だ。「町田さんお届けものでーす。」まじか。本当に届いた。すごい、あのおじいさんの言ってたことは本当なのか。すごすぎる。

となると、願いを叶えまくろう。

町田は唱えまくった。

「ポジティブシンキングメイキング」「ポジティブシンキングメイキング」「ポジティブシンキングメイキング」

 

もう夕方になった。家の中は大好きな食べ物やお酒でいっぱいだ。最新の家具が設けられ、風呂にはサウナとジャグジーが備えられた。くせ毛で悩んでいた町田はサラサラヘアになり、お腹もへっこんだ。

「はあ〜なんて幸せなんだ〜、もうこのまま今日は寝よっと」

 

やばい。今日も遅刻になりそうな時間に起きた。くそお、急ぎたくない。そうだ。

「ポジティブシンキングメイキング」

よしこれで、今日も遅刻は無しだ。

 

今日は街に出よう。いつも通り電車に乗り、ぼーっとしていると、信じられないくらいタイプの女性を見つけた。顔もスタイルも声も。あとは性格がどうかだな。あ、そうだ。あの女性と付き合えるように願えばいい。

「ポジティブシンキングメイキ、、」

いや、待てよ。先に性格を理想通りにしよう。そうした後に付き合えばいい。

「ポジティブシンキングメイキング」「あの女性の性格をおれの理想通りにしてくれ。」

うん。性格だから目に見えるものでは無いが、これで大丈夫だろう。あ、ちょっと待てよ。確か夢のおじいさんは20回しか願いは叶わないって言ってたな。まて!今ので19回使った!まずい!!!まあ、あの女性と付き合えるなら良いか。

「ポジティブシンキングメイキ、、、」

プルルルルルル。町田の携帯が鳴った。弟からだ。

「もしもし、どうした??」

「アニキ、まずい!母さんが病気で倒れた!!さっき救急車ではこばれたんた、、」

「何だって!とりあえず俺も向かうから!」

 

まずい。あんなに元気な母親が病気で倒れるなんて。昨日だって、元気にラインしてきたじゃいか。急すぎる。あ!!!!よし。願おう。そうすれば元気になる。

「ポジティブシンキングメイキング」「母さんを元気にしてくれ!」

すぐに電話が鳴った。もちろん弟からだ。

 

「アニキ!今日エイプリルフールだからからかっただけだったんだごめんよ。それになんか、さっきよりも母さんが元気になったんだ。どっから出てきた元気なのか分からないけど良いことだね!じゃあまた!」

 

 

「人間は愚かじゃ。欲求を満たすためなら冷静さをすぐに捨ててしまう。この男だって、一つ目の願いで、無制限で願いが叶いますようにと願えばよかったのじゃ。」