第二十九話 20歳 2
いつだって馴染めない。
何も考えず能天気に生きている人がうらやましい。皮肉じゃない。本心でそう思っている。けど、そうなりたいかって言われたらそうとも思わない。そう、そうは思わない。
自然と気さくに話せる人がうらやましい。人と仲良くすることはできる。けどそのためにいろんな考えを張り巡らせてから発言している。だから一人になると疲れというものがやってくるし、一人でいることのほうが自分に合っていると思うが寂しさという厄介な感情を持ち合わせてしまっているからそうはいられない。
無邪気にはいられない。いつだって何かが自分を押さえつけているように感じる。羽目を外してみてもそこまで心地よいわけではないことも知っている。情熱とオーラで周りを引っ張て行く人物にはなれない。
いつだって褒められていたい。褒められるほうが伸びるタイプとかいろいろあるけどそういう類ではない。別に人に褒められなくたって頑張ることはできるし、けなされたって指摘されたって頑張ることもできる。ただ、認めてほしいだけなんだと思う。
誘われないのに断るセリフをいつだって覚えている。
天邪鬼なわけではない。相手がほんとに考えて行動しているのか不安なってしまうから反対しているかのように聞いてしまう。
いつだって賛同してくれる人と一緒に居たいわけではない。それもそれで居心地が悪い。批判されるべきところをたくさん持っているのは知っているから。
誰にでも心を開ける人なんていないと思っている。コミュニケーション上のエチケットは必要不可欠だし、そこは十分すぎるほどできると思っている。けどそういう風に考えているから、人のことを疑ってしまう。本心なのかどうかわからない。
憧れられたい。
自分と同じような考えを持っている人がいることは知っている。そしてその人たちにいつだって憧れてる。その人たちはきっと誰よりも真剣に努力している。けど努力の数や大きさは計れるものではないから、どのくらい頑張ればいいのかわからない。
幸せなことに認めてくれている人が周りにいることも知っている。その人たちのことを心から大切にしたいと思っている。認めてくれているからではない。憧れているからだ。
窓を開けて吐き出した煙と共に消える
まともになれない。なかなか。自分が間違ってるとは思わないけど、正解とも思っていない。だから否定してくる人も苦手だし、肯定しすぎる人も苦手だ。
自分のことしか考えられない。人はみんなそうなのかもしれないけど自分は過度な気がする。ただそんな自分は嫌いじゃない。いつだって自分のことが好きだ。
たまに人のことを傷つけてしまう。心にもないことは言わないけど、だからこそ相手には響きすぎてしまうみたいだ。けど自分だっていろんな人から傷つけられたはずだ。
そんなに思い悩んでいるわけではない。いつも人の前では陽気だから、考えている側面を見せると心配されたり、呆れられたりする。それはきっと仕方ないことなんだと思うことにしている。
拍手は一人分でいいんだって思っているけど、できればたくさんの拍手がもらいたいと思ってしまう。欲張りなのかもしれないけど、それを自分に言えるのは自分だけだと思う。
強がっているだけなところもあるけど、それもまた自分に言えるのは自分だけだと思う。
たまに、心の距離感なんて取っ払って励ましてくる人がいる。鬱陶しいと思っている。けどほんとはそういう人がいないとダメなんじゃないかとも薄っすら思っている。
二十歳になっても分からないことだらけだけど、窓を開ければそれも忘れてしまう。