diary-sentencesのブログ

日々たらたらと小話的な物語的なのを書きます。

第二十話 20歳 1

大学に入ってから仲良くなった友人と三人で過ごすのが私の日課。みんな出身も違うし、入ってた部活も違う。それでも仲良くなれた。M君は高校時代から軽音部に入っていて今も続けている。Iちゃんは茶道部だったらしく今は私と同じで何もしていない。

大学生二年生になって以前よりも仲良くなり、三人で夜ご飯を食べに行ったり誰かの家で飲むことも増えた。時間も深まり、話す内容も濃くなってくると、話題にも品がなくなってくる。大体そんな感じで飲み会は終結して、三人で床で寝て次の日体を痛めながら起きる。

 

今日はM君の家で飲むことになった。どうやら話したいことがあるらしい。

 

「珍しいね、話したいことがあるなんて。どうしたのM?」

「実は、彼女ができたんだ!!」

 

Iちゃんも私も衝撃だった。M君は顔もかっこいいし、性格も素敵だ。それなのに彼女がいないで私たちの間で有名だったから。私自身、M君に恋心を抱いていたわけではないが、近しい間柄の友達と距離ができてしまったように感じて何も言えなかった。しかしIちゃんは違った。

 

「え?どんな人なの?どうやって出会ったの??」

「実は、中学の同級生で、高校は違ったんだけどさ、こっちに出てきてたみたいで。それで飲みに行って、そのままって感じかな、」

「うおっ、大人だな~M」

 

Iちゃんがこんなに簡単に反応できるのは理由がある。Iちゃんはいわゆるプレイガールだ。私たち三人の間では赤裸々なことも話すから、大体は知っている。Iちゃんにとっては、M君とできた彼女との関係なんかよく聞くことなんだろう。

 

「それでMは彼女とどこますすんだの?」

「実は、、、、」

 

M君は赤裸々に話していた。しっかり全部話していたけど私の耳には入ってこなかった。

 

別に、引いているわけじゃないんだ。そんなの大学生ならよくあることだと思うし。けどなんか、なんとも言えない悲しさで胸がいっぱいになった。私自身、小学生の頃の恋愛と呼んでいいのかわからない恋愛以来、誰とも付き合ったことはない。それも二人は知っている。もしかしたら、劣等感なのかもしれない。そうなのだとしたら、なんてみじめなんだろう。しかし、きっと二人はそんなつもりはなく私の前で話を続けている。私が邪魔なら最初から仲良くしなければいいんだから。実際、私がいないところで二人がご飯に行っている影すら感じたことはない。だからほぼ確実に私の存在は二人の邪魔になっていない。じゃあ何の感情なんだろう。M君に彼女ができた寂しさなのか?Iちゃんにはいつでも彼氏ができるから実質、私だけが独り者という虚無感なのか?理由のわからない、この気持ちが私の心というところを曇らせ続けている。

 

二人はひとしきりその話題で盛り上がり、いつも通りくだらない話をし始めた。二人の中では何気ない会話の一部でしかないんだろうな。

 

「もうすぐ夏だから、テストが終わったら三人で肝試ししに行こうよ~」

「絶対いやだよ、俺怖いのとか苦手なんだよ。」

「Sちゃんは??」

「う、うん全然大丈夫!いきたい!」

「はい!多数決で決まり!行きたくないなら来なければ~。彼女といればいいじゃん」

「うるさい!行くにきまってるだろ、二人は大切な友達なんだから」

 

20歳になったばかりの私もまだ、わからないことだらけだ。